今日は身体中に360以上あるつぼの中でも、もっとも重要な
足三里について説明したいと思います。
・足三里は陽明胃経にあるつぼの名前です。
陽明胃経は、身体の前面、目から足の第2指まで流れており、この経絡の流れる部位にある胃腸、顔面、目、鼻、口、歯痛、精神などを治療できる経絡です。
・足三里は四総穴のひとつで、肚(と)腹(ふく)(胃腸病)を主治します。
・身体の元気を高め、疲労を回復させます。
・効能が期待できる疾病は下肢疾患、急性胃腸炎、嘔吐下痢、盲腸、
顔面(鼻炎、蓄膿、鼻詰まり、味覚障害)、など様々にあります。
日本では古来より、日常を健やかに生きるため、ごく自然に活用されていたようです。
吉田兼好の『徒然草』に見られるお灸について書かれた一節では
第百四十八段
四十以後の人、身に灸を加へて三里を焼がざれば、上気の事あり。必ず
灸すべし。
[現代訳]
四十以後の人は、からだにお灸をすえて、足の三里にもすえておかないと、
のぼせたり、頭に血が上ってかっかかっかなりやすいので足の三里にお灸をすえなさい。ということなのです。
高血圧、脳卒中、ヒステリー、顔のふるえ、めまい、赤ら顔、頭痛
パーキンソンなどがそれにあたると思います。
松尾芭蕉の紀行文「奥の細道」に見られるお灸では
46歳の芭蕉が、江戸・深川の庵をあとにしたのは、旧暦の元禄2年
(1689年)3月27日。
奥羽・北陸を経て、美濃・大垣に至る約2400キロを踏破した中で
詠んだ一節
「もゝ引きの破をつづり、笠の緒を付けかえて、三里に
灸すゆるより松島の月」と詠まれている。
足三里に灸をすえ、旅の疲れを癒していた様子がうかがえます。
中国では足三里に鍼や灸をすることを「老母(ろうぼ)鶏(けい)を食べる」と言い、足三里に治療を施すと、雌の親鳥を食べた時のように体力がつきますよ。と言い伝えられており、特に胃腸が弱って体力が低下しているような場面では、威力を発揮します。この夏、足三里の灸いかがでしょうか。
ビバ足三里