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アメリカ在住の日本人女性Sさん、2016.2.8にアメリカの病院で脊柱管狭窄症の手術をしたことで局部の感染症を起こした。
左の写真で見ると分かるように、脊髓の後に髄液が袋状に溜まってしまった。
溜まった髄液による腰神経への圧迫による症状が出現。
その後、再手術を行ったが容態は改善されず、最後の手段として、2017.4.1日本に一時帰国され、当院に辿りつかれた。
症状は、高レベルの腰下肢痛、歩行困難。
中医学的に診て、「不通則痛」により起こる痛みだと診断、治療。
「不通則痛」とは流れているものが詰まることによって起こる痛みのことをいう。
詰っているものを流す「強力な」活血化瘀を図れる治療を行った。
この治療を始めて、2回目の治療を終えた後が右の写真である。髄液の溜まった袋状のものがなくなっているのが分かる。
主症状である腰下肢痛もかなり改善され、少しずつ日常生活に復帰されつつあり、歩行距離も治療を重ねることにより伸びて、散歩をされるまでになった。
Sさんはアメリカでも何ヶ所かの鍼灸院に通われたが、改善をみることはなかったということであるが、施術を受ける者のその時々の体調や、心の持ち方、施術者の技量の差など色々な要素が、治療結果を左右するのでこういうことは珍しくない。
それよりお伝えしたいことは鍼灸自身の可能性である。
現代医学では絶望的な症状も中医学では、奇跡の様に改善するようなことは日常的に起きている。ところが、それを客観的に一目で分かる様、可視化することが、もっと奇跡的なのである。今回はこのように分かりやすい画像があり、幸運である。
よく、「鍼灸はどうして治るの」との質問をお受けするが、鍼灸は個々の技術と感性に依ることが大きく、残念ながら、言葉だけで表現するのがとても難しい!感性の世界であるが故、それに頼り過ぎているのかもしれない。しいて理論を言えば、上記のごとく(不通則通←活血化瘀)単純で基本的なものでしかない。
ただ一つ言えることは、鍼灸の持っているポテンシャルは施術者が引き出すことさえ出来れば強大である。
我々、その使い手は今後、より一層の技術の研鑚と共にビジュアライゼーションが不可欠である。